PCI Express USB3.0インターフェースボードを増設しました
我が家の メインPC(自作機)の PCケース フロント I/Oポートは USB3.0を 2ポート分サポートしているのですが、マザーボードは USB3.0をサポートしていません。
折角なのでこの 2ポートを活用できるようにインターフェースボードを増設しました。(2015/6)
増設したボードは米国 HighPoint Technologies 社製のインターフェースボードです。RAID関連のストレージやコントローラーを製造販売しているメーカーです。
このボードにした理由は PCIe-USB3.0インターフェースボードの比較テスト の結果を見て取付けることにしました。
HighPoint RocketU 1142A 主な仕様
下の画像は今回購入したインターフェースボードの写真です。上述のデータ転送速度比較テストに使用した物(RocketU 1144C)と同じ Rocket Uシリーズのボードです。
- 型番:RocketU 1142A
- バスインターフェース:PCI Express 2.0 x 4
- コントローラー:xHCI(Extensible Host Controller Interface)x4個
- 搭載チップ:ASM1042
- ドライバ
- Asmedia 104x USB3 Controller
- DriverVer=11/22/2011, 1.14.4.0(付属CD)
- DriverVer=11/08/2012, 1.16.4.0(最新版)
- Asmedia 104x USB3 Controller
- ファームウェア
- Firmware version: 12220E
- USB3.0:Type-A ポートx2個、19pin ポートx1個
- 外形寸法:130 x 69 x 19 mm
- 動作温度域:5~55℃
- 動作湿度域:5%~60%
- サポートOS
- Windows server2008 , 2012 , Windows8 , 7 ,Vista(32 and 64bit)
- Linux OS:Kernel 2.6.31以降
- 付属品:ドライバ CD、ロープロファイルブラケット
RocketU 1144Cとの違い
下表は 1142A と 1144C の仕様の違いをまとめたものです。
RocketU 1142A | 外部ポート: 2 | 内部ポート: 1 | Mac OSX サポート: 10.9以降 | ロープロファイル: 対応 |
---|---|---|---|---|
RocketU 1144C | 外部ポート: 4 | 内部ポート: なし | Mac OSX サポート: なし | ロープロファイル: 未対応 |
下の画像は RocketU 1144Cの写真です。
ご覧のようにボードの形状が明らかに違うのが分かります。
Explanation
このボードのコントローラチップは ASMedia製のASM1024(fig1)で、4つのポートに対して4個実装されています。
早速インターフェースボードをマザーボードにセットして、まずはドライバのインストールです。下の画像は HighPoint Technologiesのホームページのスクリーンショトです。
付属CDに RocketU 1142Aのマニュアル(User's Guide)は入っていなかったのでホームページからダウンロードしました。最新のドライバもこのページからダウンロード出来ます。
今回は付属CDのドライバ(fig2)をインストールし、ファームウェアはデフォルトのままです。
Windowsのデバイスマネージャーで「ASMedia XHCI Controller」が4つ表示(fig3)されている事を確認します。
RocketU 1142Aは仕様にもあるようにUnix系OSの Linux OS(ディストリビュージョン)もサポートされています
下の画像は HDD2の第1パーティションにインストールしている Ubuntu 12.04LTS上でドライバを確認した時のスクリーンショットです。
確認の方法は端末から
$ lspci -v
を実行します。
Linux OSのデバイスドライバは kernel(カーネル)にモジュールの形でコンパイルされているのでインストールする必要はなく、パソコンを起動しデバイスを検出するとドライバモジュールがロードされます。
RocketU 1142A 取付け時の注意
RocketU 1142Aはマザーボードの PCI Expressスロットに挿して使用するのですがやみくもに取付けるとうまく動作しない可能性があります。
同じチップセットを搭載しているマザーボードであってもメーカーによってPCI Expressの帯域等が違うのでマニュアルをよく見て確認しましょう。
当メインPCの場合を例にあげて説明します。まずはマザーボードのマニュアル(fig4)を見てPCI Express x16スロットのレーン数を確認(fig5)します。
次に複数挿しをしてもレーン数が変化しない PCI_E2スロットにグラフィックスボードを挿し、複数挿しで8レーンとなるPCI_E4スロットに今回増設するインターフェースボードを挿し(fig6)ます。
動作確認テスト
今回の動作確認テストには USB3.0メモリーを使用します。下の画像は SanDisk Extreme PRO USB3.0 Flash Driveの写真です。
型番 ・ 容量 | SDCZ88-128G-*46 並行輸入品 ・ 128GB |
---|---|
Seq.Read ・ Seq.Write | 260MB/s ・ 240MB/s |
外形寸法 | 70.87 x 21.34 x 11.43 mm |
動作温度域 | 0℃~45℃ |
パーティション開始セクタ位置 | 32(デフォルト) |
ファイルシステム | FAT32 |
では、テスト開始(fig6)です。今回下記 2種類のテストを行いました。
1つ目はUSBメモリーに100MBと1000MBの Read・Writeのシーケンシャルアクセス・ランダムアクセスをそれぞれ5回づつ実行しその最大値をベンチマーク結果(fig7)としています。
2つ目はUSBメモリーにパケット長(ファイルサイズ)100MBの Writing・Readingに掛かった時間をベンチマーク結果(fig8赤下線部)としています。
テストの結果はシーケンシャルリード・ライト共カタログ値を大きく下まわる結果になっていますがこれはマザーボード側の問題でありUSBメモリーの欠陥などではありません。
その問題とは今回マザーボードのチップセットIntel P55がUSB3.0をサポートしていないため PCI Expressインターフェースボードを増設した訳です。
ところが P55の PCI Expressは仕様上 2.0(Gen2)となっていますが実際は 1レーン=250MB/s(2.5GT/s)の転送速度★1であり、つまり実質 1.1(Gen1)なのです。
そこでこのマザーボードのPCI Expressの実効転送速度(8bit / 10bitエンコード , ヘッダーロス , 実装回路のロス等を見込んだ)を計算してみると 250MB/s x 75~80% ≒200MB/sとなり、ベンチマークの結果とほぼ一致しています。
もしも今回使用したUSBメモリーのポテンシャルを引き出そうとするならば PCI Express 2.0 が実質サポートされた intel 6シリーズ以降のチップセットを搭載したマザーボードが必要です。Intel7シリーズマザーボードによるベンチマーク
また、オンボードのUSB3.0は intel 7シリーズ以降のチップセット搭載のマザーボードとなります。2015年6月現在は Intel 9シリーズとなっていますがいまだ幾つかのUSB3.0に関する 問題 をかかえているようです。
PCI Express2.0なのに250MB/s(2.5GT/s)でもOKな理由
★1実際は1レーンの転送速度
PCI-SIGが策定したPCIe仕様書(PCI Express®2.0 Base Specification Revision 0.9 及び 2.1)に以下の様な記述があります。
IMPLEMENTATION NOTE (実装メモ) Support for Higher Data Rates than 2.5GT/s (より高いデータ転送のために2.5GT/sよりサポートしなさい) A Link will initially train to L0 state in 2.5GT/s speed even…
つまり、PCI Express 2.0のデータ転送レートを 5.0GT/sにしなさいと書かれていないためと思われます。
所感
今回増設したPCI Express USB3.0インターフェースボードは「4ポート / 4コントローラ / 4レーン」の豪華版なので4ポート同時に使用しても転送速度は落ちません。しかし価格もそれなりです。
管理人の場合4ポート同時使いなどまずやる事はないのでオーバークオリティなものになってしまいました。2~4ポート / 1コントローラ / 1レーンの廉価版で十分だったなと思いました。