VirtualBoxでマルチブート
VirtualBoxでマルチブート?。何のため?。それ必要?。ごく自然な疑問だと思います。管理人は新バージョンのLinux OS(ディストリビュージョン)のお試しにVirtualBoxを日常的に使用しています。
つまりOSの数だけ仮想HDDを設定する必要がある訳ですね。これは実際面倒くさい作業であり管理するのも手間がかかります。
そこで思いついたのが 1つの仮想HDDにマルチブート環境を構築して、4つのOSをインストールすることでした。
下の画像は VirtualBox(5.2.32_Ubuntu r132056)上でマルチブートマネージャーにより Lubuntuを起動している動画です。
そして今回、仮想HDDに 4つのパーティションを設定してみたところ上手くいきました。
このページでは実機同様に MBM(Multiple Boot Manager)を使ってマルチブート環境を構築した方法を掲載しています。(2019/10)
PC環境
機種:自作PC
- CPU:Intel® Core™ i7-2600 SundyBridge
- GPU:NVIDIA Geforce® GT710
- ホストOS:Ubuntu 18.04LTS 64-bit
- VirtualBox:バージョン 5.0.14r105127
- Extension Pack:なし
- ゲストOS:Lubuntu 18.04LTS 64-bit他 3つ
使用するISOイメージ
下表は使用した ISOイメージファイルです。
GParted | gparted-live-0.31.0-1-i686.iso |
---|---|
MBM | mbm039.iso |
Lubuntu | lubuntu-18.04.2-desktop-amd64.iso |
それぞれ VirtualBoxマネージャーの IDEセカンダリーマスター[光学ドライブ] にマウントして使用します。
実機の場合 USBメモリーや DVDでライブメディアを 作成する 必要があります。
仮想HDD のパーティション構成
VirtualBox上で作成した 10GiBの仮想HDDに GPartedをマウントして下表のようにパーティションを作成しました。
第1パーティション(基本) | 1 GiB, win7 - ラベルのみ |
---|---|
第2パーティション(基本) | 1 GiB, win10 - ラベルのみ |
第3パーティション(基本) | 1 GiB, CentOS 6 - ラベルのみ |
第4パーティション(基本) | 7 GiB, Lubuntu 18 - インストール |
下の画像は GPartedのスクリーンショットです。
実際にインストールしたのは Lubuntuだけです。あくまでもマルチブート環境構築のシミュレーションですから。
仮想HDD に MBM をインストール
このセクションでは、仮想HDDの MBR(Master Boot Record)に MBM(Multiple Boot Manager)をインストールする方法を説明します。
まず仮想HDDに MBMの ISOイメージである mbm039.isoをマウントし VirtualBoxのメニューアイコンの 起動(T) ボタンを押します。
すると次のような操作メニュー画面の最終行に入力待ちのプロンプトが表示されます。
MBM R0.39:Loading... **** MBM R0.39 diskette image mode **** 1.Boot menu 2.Edit partition table 3.Install boot manager 4.Same as 3,but last sector in the track 5.Restart Choose operation (1-5)=_
そして下記の手順でインストールします。
Choose operation (1-5)= 3 ・・・① Drive number to install (0-3)= 0 ・・・② The boot manager will be installed into drive #0 Do you wish to continue? <Y/n>= y_ ・・・③
①操作を選択 3 Enter
(MBMをインストールする)
②インストール先 HDDの指定 0 Enter
(0=1台目, 1=2台目, 2=3台目, 3=4台目)
③インストールの実行 y Enter
(y=実行, n=中止)
下の画像が実際にインストールした時のスクリーンショットです。
VirtualBoxではインストール先 HDDの指定は 0 以外ありえませんが実機における物理HDDは 3、即ち 4台まで扱えます。
従って 1台につき 4つの基本パーティションを設定すると最大で 4 x 4 = 16種類の OSが操作可能です。論理パーティションを設定すれば更にその数は増えることになります。
補足|MBMのユーザーインターフェース
MBMのデフォルトのユーザーインターフェースは 2種類あります。下の画像はそれぞれのスクリーンショットです。
ご覧のように上部パネルの背景色が異なります。下表のようにMBMをインストールしているデバイスの種類で分けられています。
緑色 | CDや USBメモリー等のライブメディアから起動 |
---|---|
青色 | HDD や SSD の Master Boot Record から起動 |
緑色の場合 OSのブートローダーにアクセス出来ます(OSが起動するとは限らない)が OS名のリネームなどのオプションメニューは使えません。
MBM の設定
このセクションでは数ある MBMのオプションの中から 3つの設定方法を説明します。
リネーム(Rename menu item)
MBMのインストール直後のメニュー画面は下記や前セクションの青色のインターフェースのように各OSのファイルシステム名が表示されます。
Multiple Boot Manager R0.39
1. HPFS/NTFS
2. HPFS/NTFS
3. Linux ext2fs
4. Linux ext2fs
5. Diskette
1から 4は HDD 1台のパーティションを、5は FDD(フロッピーディスクドライブ)を示しています。これが MBMのデフォルトの表示となります。
このまま使用することもできますが OSの名称にした方がより使い勝手が良くなると思います。そこでリネーム機能です。
キーボードの矢印キー ↑ , ↓ で OSにフォーカスして F2 を押すとキーボード入力可能になります。名前を入力したら Enter で確定です。
下の画像はリネーム後のスクリーンショットです。画面右側の Help詳細は F1 キーを繰り返し押すことで表示、非表示が切り替わります。
なお、名前の先頭に *(アスタリスク)を付けると次回起動時に非表示になります。
補足|キーボードの入力について
MBMの入力はキーボードが日本語 106/109 であっても US 101/102 のキー配列になります。
例えば、テンキーレスのキーボードで次のようにリネームしたい時など、かなり手こずると思います。
Multiple Boot Manager R0.39
1. Windows 10 Pro @64
2. Ubuntu 18.04 LTS x86_64
3. CentOS 7 x86_64
4. *Data partition [hidden]
5. *Diskette
そこで下表に主なキー入力法を紹介しておきます。
*(アスタリスク) | Shift + 8 |
---|---|
( | Shift + 9 |
) | Shift + 0 |
=(イコール) | へ |
_(アンダースコア) | Shift + ほ |
@(アットマーク) | Shift + 2 |
:(コロン) | Shift + れ |
[ | @ |
] | [ |
+(プラス) | Shift + へ |
'(単一引用符) | け |
"(二重引用符) | Shift + け |
このように日本語キーボード配列と大きく異なっています。
デフォルトのOS設定(Set default drv)
デフォルトの OSとは MBMのメニューが表示された時、常にフォーカス(ハイライト)される OSのことです。
その方法は スペース キーを繰り返し押すことで設定と解除が切り替わります。設定されると下記のようにパーティション番号の左側に * が表示されます。
Multiple Boot Manager R0.39 1. Windows 7 Pro.64 2. Windows 10 Home.64 3. CentOS 6 64 * 4. Lubuntu 18 LTS 64
次のパートで説明するオートスタートと組み合わせると PC電源オンするだけで自動的に目的の OSが起動できます。
オートスタート(Set timer)
オートスタートとは文字通り OSを自動的に開始する設定です。ではどの OSを起動するのか、答えは前回シャットダウンを実行した OSです。
これを回避するのが前パートで説明したデフォルトOS設定です。
具体的には OS選択メニューの表示から起動プロセスが開始されるまでのタイムアウトの時間を設定します。
その方法は F3 キーを押すと下記のようなプロンプトが表示されるので秒単位で入力します。
Multiple Boot Manager R0.39 1. Windows 7 Pro.64 2. Windows 10 Home.64 3. CentOS 6 64 * 4. Lubuntu 18 LTS 64 Auto start time[sec]=5_
今回は 5秒 に設定しました。下の画像は設定中と設定後のスクリーンショットです。
なお、この 5秒間にキーボードの矢印キー ↑ , ↓ を操作するとタイマーがキャンセルされ、その他の OSが選択可能になります。
雑感
今回 VirtualBox上の仮想HDDに 4つの基本パーティションを設定し 4つの OSを扱うシミュレーションでしたが、論理パーティションを設けることによって扱える OSの数を増やせます。
Linuxデストリビュージョンは論理パーティションにインストールできますから。Windows OSは出来ませんけどね。
サイト内 MBM関連リンク
下記は MBMに係わる当サイト内ページのリンクです。
チェーンローダーにMBMを使う理由 | MBMとは。2段階ブートによるOS起動の概念。 |
---|---|
マルチブート環境を構築 «ノートPC編» | MBM インストールとメニューのリネーム |
ASUS EeePC 1025C のカスタマイズ | インストール動画など |
マルチブート環境を構築 «HDD 1台編» | マスク / マスク解除。オートマスクグループなど |
気が向いたら覗いてみてください。
実機で MBMを使うには
MBMは Legacy BIOSで動作します。UEFI環境では動作しないのでご注意ください。
過去5年前くらいから巷に出回る PCのマザーボードは全て UEFIがデフォルトなので実機で MBMを導入する場合は Legacy BIOSもサポートしている必要があります。
管理人は必要に応じて、と言うのは後付けの理由ですが旧型や中古のマザーボードを好んで使っています。例えば Pentium 4 Northwood のマザーボードが 2019年10月現在も現役ですよ